ミラクル☆トレイン
[ 2012.08.31(金) 01:39 ]
SSあり

140文字作文まとめ+α その8

twitterで書いた140文字作文の自分用まとめ、その8です。
診断メーカーで出てきたお題に沿っています。

というわけで以下、新宿×六本木のSS(1つ140文字)です。
描写レベルは、人畜無害〜朝チュン。

おまけで、140文字より長いSSも1つあります。


■お題『「さよなら」「近距離恋愛」「三日月」』(2012.04.11 05:55)

猫の瞳は三日月に例えられるらしいが、もうすぐ終電なのに「さよなら」を言いたがらない子猫ちゃんの瞳は、何に例えたらいいだろうか。俺と六本木は毎日顔を合わせている、超近距離恋愛。それでもまだ俺と一緒にいる時間が足りないというのなら…その瞳が快楽に潤むまで、付き合わないといけないかな。

■お題『「きらいって言ってくれれば、」「(だいすき。)」「夜のとばりは落ちて、」』(2012.04.29 01:36)

夜の帳が街を包む頃、『僕』の時間は始まる。内側から沸き上がる高揚感に身を任せ、過激にワガママになる。それなのに、新宿さんはいつも通りに愛を囁いてくる。いっそこんな『僕』は嫌いだと言ってくれれば、僕も嫌いだと答えるのに。口説き文句に悪態をつきながら、夜風に本音を呟く。(…だいすき)

■お題『恋人宣言おあずけ中』(2012.05.08 03:29)

口に出してから、失言だったことに気づいた。史が眉を顰めるのを見ないようにして、俺は言葉を続けた。「…で、忘れ物って?」問いに月島が答え、会話は何事もなかったかのように流れ出す。やれやれ。俺たちの関係を秘密にしたいという史の意思は尊重したいが、名前すら呼べないのはどうにも窮屈だな。

■お題『ハッシュタグお題(新宿さん編)』(2012.05.11 03:40)

シートに腰を降ろす時は、必ず端に。それが俺の信条。手すりがあるからジャケットを掛けておけるとか、寄り掛かれるとか、そんな理由じゃない。俺の隣に空いている、広いスペース。ここにあいつが座りに来てくれるのを、待っているのさ。 #愛恋好心という文字を使わずに恋をしている事を表現してみる

■お題『ハッシュタグお題(六本木くん編)』(2012.05.11 05:57)

座れる席はたくさんある。それなのにわざわざ隣に座るなんて、不自然に思われていないだろうか。気づかれたら困るけど、本当は気づいてほしい。そんな葛藤が生み出す、彼と僕との、拳ふたつ分の距離。ねぇ、もう少しだけ縮めても…いい? #愛恋好心という文字を使わずに恋をしている事を表現してみる

■お題『「上手に言えない」「涙出るくらいまで」「好きにして」』(2012.05.26 00:23)

気持ちは言葉にしないと伝わらないよ。悩める淑女にはそうアドバイスしてきたけど、実は僕自身があまり実践できていない。「どうして欲しい?」ベッドの中で行われる、新宿さんからの質問。それに対する僕の答えはたった一言。「めちゃくちゃにして」…でも恥ずかしくて、いまだに言葉にできないんだ。

……………………

■お題:「嫁コレ」のアクションを新宿さんにやらせてみよう+「シエスタ」

寝室のドアを開けると、ベッドの上に寝転んでいる姿が見えた。
こちらに背を向けて、やや丸まった体勢だ。
「六本木」
「……んー」
声をかけると、眠そうな声の返事が返ってきた。
完全に寝ているのかと思ったが、そうでもないらしい。
「返事がなかったから、勝手に上がらせてもらったぞ」
「……んー」
六本木はこちらを見ようともせずに、先ほどと同じ返事をする。
俺はあきれると同時に、少し安堵した。

今日は、俺たちの『勤務』は午前中だけだった。
本来なら夕方に悩める淑女の乗車が予定されていたのだが、車掌いわく、日程が変更になったらしい。
降ってわいた自由時間を満喫しない手はない。
そこで俺は六本木をデートに誘おうと思ったのだが、なぜかどの車両にもいなかった。
他の『駅』たちに聞いてみても、車掌が予定変更を告げに来て以降、姿を見ていないという。
ケータイに電話をしてみても、コール音が空しく鳴り続けるだけ。

一体どこへ行ったのか。
あれこれと考えをめぐらせる中、俺はふと今朝の六本木の様子を思い出した。

今朝の六本木は、とても眠そうにしていた。
理由を尋ねると、昨晩、遅くまで調べ物をしていたせいで寝不足なのだという。
もしかしたら、寝るために自室に戻っているかもしれない。
それ以外の行き場所が思い当たらなくて、俺は六本木の自室までやってきた。

そしてその予想は見事に――というか無事に当たっていたというわけだ。
そのうち見つかるだろうとは思っていたが、誰にも行き先を告げずにいなくなられて、全く心配しなかったわけじゃない。

「こら」
俺は六本木の方へ近づき、その肩を軽くつついた。
「せっかく恋人が遊びに来たっていうのに、昼寝続行か?」
「……んー」
相変わらず背を向けたままの、三度目の生返事。

心配させられたことを咎めるつもりはない。
だが、このまま引き下がるというのも、ちょっとおもしろくない。

「……六本木」
俺は六本木の肩を掴み、自分の側へと引いた。
特段の抵抗もなく、その体は仰向けになる。
「んー……?」
六本木はようやくこちらを見てくれたが、その瞳は眠気のせいでとろんと溶けている。
俺がベッドの上に身を乗り出して体の上に覆いかぶさっても、ぼんやりと俺の方を見つめたままだ。
いつもなら恥ずかしがって視線をそらすのだが、そうしないということは、相当眠気に支配されているのだろう。

「寝るのは後回しにして……。 せっかく二人でいるんだから、もうちょっと有意義に時間を使おうぜ」
そっと、六本木の頬に手を添える。
手のひらで包み込むように撫でてやると、六本木は少しくすぐったそうに目を細めた。
「……ん」
多少意識がはっきりしてきたのか、同じ返事でも先ほどよりは感情がこもっている。
その吐息はほんのりと熱を帯び、甘く鼻に抜けていく。
それは、睡眠とは異なる快楽が呼び起こされている証拠だ。

このまま起きてもらえるだろうか。
俺は淡い期待をこめて、六本木の耳元に誘いの言葉を囁く。
「……どう?」

だが、その期待は見事に打ち砕かれた。

人肌の温もりと適度な重みは、どうやら眠気の方に味方したらしい。
「あと、で……」
その一言だけをつぶやいて、六本木のまぶたは完全に閉じてしまった。

規則的な寝息を立て始めた六本木を見下ろしながら、俺は小さくため息をついた。
一応、『後で』という約束はもらうことができた。
しかしこの状況では、起きた後にその発言を覚えているとは思えない。
完全におあずけ――それも、解除される見込みの無いものを食らってしまった。

連絡が取れなくなって、心配した。
やっと見つけたと思ったら寝ぼけまなこで、こちらを見てもくれない。
そしてそのまま、おあずけ宣言。
ここまで積もってきた小さな不満が、はけ口を求めて俺の中で渦巻いている。

「……」
六本木の唇に、そっと自分の唇を押し当ててみる。
伝わってくる熱はたまらなく愛しくて、それを思うままに貪れないことが、どうにももどかしい。
――無理やり起こしてしまおうか。
そんな強引で身勝手な考えすら、脳裏をかすめていく。

だけどそんなの、俺のガラじゃない。

わがままな欲望を理性で心の奥へと押し込み、俺はもう一度六本木にキスをする。
「……約束、守ってもらうからな」

続きは、六本木が起きてから。
そして、現在おあずけされている分の「利子」も一緒に払ってもらう。
その方が、今無理やり起こしてしまうより、ずっと甘い時間になるだろう。
そんな約束は覚えていない、と言って抵抗されそうだが、それもまた楽しそうだ。

腕の中の六本木の幸せそうな寝顔と、柔らかな温もり。
俺のまぶたが閉じるまで、そう長い時間はかからなかった。