ミラクル☆トレイン
[ 2012.02.21(火) 01:25 ]
SSあり イラストあり

140文字作文まとめ+α その7

twitterで書いた140文字作文の自分用まとめ、その7です。
診断メーカーで出てきたお題に沿っています。

おまけで、140文字より長いSSもついてます。

というわけで以下、新宿×六本木のSS(1つ140文字)です。
描写レベルは、人畜無害〜朝チュン。

■おまけ
SSとは何の関係もないですが、箱状に仕上げるドット絵(「グラフィグ」を元にした「箱ドット」というそうです)を作ってみました。
せっかくなので飾っておきます。
りんふみ箱ドット


■お題『ばか。たったその一言だけ。』(2011.12.08 03:14)

その日、六本木は朝から不機嫌だった。何度呼んでも、こちらを見ようともしない。思い当たる原因は、昨晩いじめたすぎたことくらい。「相手してくれないなら、無理やりキスするけど?」その言葉に振り返った六本木の返事はたった一言、「ばか」。言葉とは裏腹に閉じられた瞼に落とすのは、謝罪のキス。

■お題『新宿さんお誕生日記念』(2011.12.19 12:39)

「あーあ、19日になっちゃった」日付が変わった頃、史が残念そうにつぶやいた。「何だ、そんなに俺の誕生日を祝いたくないのか?」頭を乱雑に撫でると、抗議の声があがる。「違うよ。少し追いついたのに、また離されるから…」俺は再度頭を撫でた。三歳下に戻った恋人へ、今度は目一杯の愛を込めて。

■お題『欠点があるとするならそれは』(2011.12.21 12:40)

一度好きになると、相手の小さな欠点なんてどうでもよくなるものだ。考えすぎる癖も、甘いものを前にすると自制できなくなるところも、俺にとっては欠点どころか魅力だ。だから、もし六本木に欠点があるとするならそれは、俺をこんなにも引きつけて離さないことだ。…なんて言ったら、呆れられるかな。

■お題『すきだよ、ばか』(2011.12.22 04:47)

「ばか」。ベッドに入ってから、何度その言葉を口にしただろう。容赦のない指先に、熱く濡れた唇に、甘く囁く声に…新宿さんの全てによって、僕は貪りつくされていく。「ばか…」少しでも抵抗したくて、必死に紡ぐ言葉。でも情けないことに、それはすぐに勢いをなくしてしまう。「…すきだよ、ばか…」

■お題『クリスマス』(2011.12.26 01:19)

「クリスマスプレゼント、何がいい?」僕が尋ねると、新宿さんは少し考えてから答えた。「お前がそばにいてくれること」そんな、いつもと変わらないことがプレゼントになるのだろうか。「…言い方を変えようか」困る僕に、新宿さんは優しく笑いかける。「お前が、俺のそばにいたいと思ってくれること」

■お題『堂々と、腕をぎゅっと握る/キーワード:ベッドの上』(2012.01.10 20:51)

新宿さんは、よく人の頭を撫でる。新宿さんにとって、それが庇護する対象への愛情表現だからだ。でも、ベッドの中では違う意味を持つ。「…ねぇ」新宿さんの腕をぎゅっと握り、いつもは必要のない言葉を紡ぐ。「頭、撫でて」触れた手の平がひどく熱いのは、庇護欲以外の欲望に疼いている証拠…でしょ?

■お題『おかしくなる』(2012.02.13 17:36)

「俺、おかしくなりそう…」ベッドの上で囁かれる甘い口説き文句。それを聞き流し、僕は冷ややかに尋ねる。「欲望のままに攻めたてて、僕を壊す気?」「…配慮する」「できるの?」「…っ」焦れた新宿さんが強引なキスで僕を黙らせる。…火に油を注ぐのが楽しいなんて、僕も大概おかしくなってるよね。

……………………

■お題:『侵される』 (某さんがやたらと某さんの肩に手を回していたので、つい……)

「ろーっぽんぎっ」
新宿さんの弾んだ声が耳に届くのとほぼ同時に、僕の左肩にずしりと重みがのしかかる。
重みと一緒に、肩に乗せられた手のひらから、新宿さんの体温が伝わってきた。
そして耳元で問いかけられるのは、もう何度も聞いてきた質問。
「今、ヒマか?」
「……うん」
僕が答えるのが早いか、何度も聞いてきた誘いの言葉が返ってくる。
「じゃあ、夕飯一緒に食べにいこうぜ」

新宿さんの腕が、僕の左肩から背中へと移動する。
腕はそのまま右肩に回されて、僕は上半身を抱え込まれる形になった。
互いの息がかかる距離まで、嬉しそうに笑う新宿さんの顔が近づく。
この一連の動作は、何度も体験してきたこと。
「……うん」
僕の承諾の返事も、もう何度も。

でも、いまだに慣れない。

いや、「慣れない」なんてものじゃない。
今すぐに、僕の肩に回されている新宿さんの腕を振りほどきたいくらいだ。
新宿さんのことが嫌いなわけじゃない。
他人に触れられることが嫌なわけでもない。
でも、新宿さんに触れられるとどうにも気持ちがざわついて、落ち着かないのだ。

僕の感じているものをどうにか言葉で表すとするなら、「自分の領域が侵される感覚」になるのだろうか。
紙を火に近づけると、燃え移って、しまいにはぼろぼろに崩れさってしまう――そんな感じだ。

新宿さんと触れ合っている背中、肩、首筋、そして髪の毛の先端から、火が燃え移ってくる。
それは容赦なく僕を侵食して、あっという間に灰にしてしまう。
その脅威から自分自身を守るために、僕はこの新宿さんの腕を跳ねのけたいのだろう。

どうして新宿さんに対してだけそんな風に思ってしまうのか、僕自身にもよく分からない。
触られていると落ち着かないだけで、新宿さんと一緒にいること自体は楽しい。
だから、食事に誘ってくれるのは嬉しい。
でも、そのたびにこうやって触れられるのは遠慮したい。
新宿さんが他の人にここまで頻繁に接触しているところは見たことがないので、どうやら対象は僕だけらしい。
なぜそれほど僕を気に入っているのかは分からないけど、僕の感情の方がもっと分からない。

いや、本当は、ひとつだけ心当たりがある。
このどうにも落ち着かない、そして自分が自分でなくなってしまうような感覚。
それは――。

「六本木」
黙って考えをめぐらせていた僕をいぶかしく思ったのか、新宿さんは僕の肩をさらに引き寄せた。
僕の顔をまっすぐに覗きこみながら、尋ねてくる。
「嫌なら、無理しなくていいんだぞ?」
「い、嫌ってわけじゃ……」
そう言われると、説明に困ってしまう。
「貴方にだけは触れられたくない」なんて言うのは、「貴方のことが嫌いだ」と宣言するのと同義だ。
そういうことじゃない。
かといって、今の気持ちはうまく言葉にできない。

僕は、強引に話を進めた。
「あ、あのさ。 今日はどこ行くの?」
「え? ああ、先月お前が連れて行ってくれたベトナム料理屋がいいかなって思ってるんだけど」
「うん。 それじゃ、そこにしようよ」
間髪入れずに答える僕に対して、新宿さんはどうにも腑に落ちないという表情を浮かべる。
「いいのか?」
「うん。 ……というか、嫌だったら、ちゃんと断ってるって」
「……まあ、それもそうか」

肩に回されていた腕がほどかれて、僕から熱が離れていく。
それに伴って、僕を支配していた妙な感覚もなくなっていく。
僕は内心、ほっと胸を撫でおろした。
かなり長く肩を抱かれていたせいで、落ち着かなさに耐えるのも辛くなってきていた。
あれ以上触れられていたら、腕を振り払っていたかもしれない。
それに新宿さんの顔が近すぎて、余計に落ち着かなくて――。

そこまで考えて、僕は心の中で小さく首を振った。
今僕が感じている感覚には、ひとつだけ心当たりがある。

――新宿さんに対して、『ドキドキ』しているのかもしれない。

でも、そんなはずはない。
僕が女の子だったらそうなのだろうけど、同性に対してそんな風に思ったりしない。
なのに、肩を抱かれることにいまだに慣れない。
何度経験しても慣れないどころか、そのたびに症状が悪化していく。
今だって、頬が火照って、呼吸が早くなっている。

でも、そんなはずはないんだ。

ふいに、新宿さんが肩越しに振り返った。
僕に向けて、悪戯っぽく、そして妙に艶っぽくウインクする。
「……これは、脈アリかな?」

僕は目を逸らし、その言葉を聞かなかったことにした。