ミラクル☆トレイン
[ 2011.04.23(土) 11:02 ]
SSあり

今日は『夜史の日』

「よ(4)るふみ(23)がいいね」と某淑女が言ったから、4月23日は夜史の日。
というわけで、私も乗っかってみました。

以下、新宿×六本木(夜)のSSです。
描写レベルは朝チュン……かなぁ。
診断メーカーのお題で、「史(夜)がキスしたいと言っているシーン」です。


夜の僕にとって、新宿さんを思い通りに動かすなんて、簡単なことだ。
ちょっと思わせぶりな態度をとれば、それだけで向こうから勝手に動いてくれる。
指先に触れるだけでキスさせることができるし、肩にしなだれかかるだけで一晩一緒にいさせることができる。

そんなことができるのは、新宿さんが僕に惚れているから。
惚れさせたこと自体が、僕の「勝ち」。
ほんの少しのアクションで新宿さんを思い通りにできることが、彼に勝ち続けていることの証明なのだ。

――なのに、今夜はなぜかそうならない。

どう誘いを仕掛けても、ふらりとかわされてしまう。
体を抱きしめるところまではするのに、それ以上をしようとしない。

キス、されないのだ。

後ろから抱きついても、頭を撫でられるだけ。
顔を近づけて瞳を覗き込んでみても、「どうした?」と笑うだけ。
いつもなら、とっくにキスもそれ以上もされているシチュエーションなのに、それだけ。
明らかに、分かっててやっている。

非常にもどかしい。
新宿さんが思い通りになってくれない。
それだけで、ひどく落ち着かない。

しびれを切らした僕は、新宿さんのシャツを引っ張って、無理やりベッドに引き込んだ。
さすがに、この状況で手を出してこないはずはない。
日頃から据え膳喰わぬは男の恥、と言ってはばからない人なのだから。

でも、僕の目論見はもろくも崩れた。

新宿さんは僕に馬乗りになって、シャツのボタンを一つずつ弾いていく。
あらわになった肌に唇が落とされると、首筋に、胸に、脇腹に、彼の体温が伝わってくる。
でも、それだけ。

新宿さんはひとしきり僕の体を撫で回して満足したのか、今度は額同士をくっつけてきた。
昼間とは違う艶っぽい笑顔を浮かべて、僕の目を覗き込む。
「どうした?」
「……っ」
こんなに近くに見えているのに――触れられない。
腕を伸ばして首に絡めてみると、今度は頬ずりされる。
「今日の史、かーわいー」

違う、そうじゃない。
僕が……僕が望んでいるのはそうじゃない。
もどかしくてもどかしくて、どうにかなりそうだ。

もう、言葉にするしかない。

「……キス、しないの?」
「してるよ?」

新宿さんはちょっと意地悪に笑って、僕の頬に、ついばむようなキスを落とす。
違う。 やだ。
そんなのだけじゃ、いやだ。

「……口に、してよ」
「どうして?」

やだ。
新宿さんが思い通りにならないことが、いやだ。
でも、それ以上に――

「僕が、キスしたいから……っ!」

思い切り顔を近づけて、唇を触れ合わせる。
数時間ぶりに感じたその熱を、僕の唇は待ちかねたようにむさぼろうとする。
それを無理やり引き離して、新宿さんの表情をうかがう。

これでも動いてくれなかったら、僕は本当にどうにかなってしまう。
だから……だから、お願い。

「……やっと言ったな」

新宿さんは僕の頬を両手で包み、嬉しそうに微笑んだ。
そして、とびきり深いキスをしてくれた。

……悔しいけど、訂正する。
新宿さんを思い通りに動かせるかどうかは、ちょっとだけ新宿さんの気分次第だ。