ミラクル☆トレイン
[ 2011.02.05(土) 17:08 ]
SSあり イラストあり

『ふみの日』だったので

例によって当日更新は逃しましたが、せっかくなので2月3日『ふみの日』ネタをやっておきます。

以下、新宿×六本木のSSです。
描写レベルは(ぬるいですが)朝チュン程度。

あと、らくがきもついでに載せておきます。


■SS
部屋の壁にかかっているカレンダーを眺めていた新宿さんが、嬉しそうに僕を振り返った。
「今日は、『ふみの日』だな」

あまりに唐突なその言葉に、僕は思わず聞き返す。
「何の日……ですか?」
「『ふみの日』」
同じ口調で、新宿さんは繰り返した。

今日は2月3日。
僕の名前の由来と同じ――2と3で「ふみ」、ということだろうか。
でも、本来の『ふみの日』は、別にちゃんと存在している。
「それ、7月23日ですよ」

当時の郵政省が制定した、ふみ……つまり「文」の記念日。
23を「ふみ」と読むところまでは一緒だけれど、
こちらはさらに、7月の旧暦の名称が文月(ふみづき)であることにちなんで制定されている。
祝日ではないので、基本的にカレンダーには書かれていない。
でも、自分と同じ名前の記念日なので、気がついたら覚えてしまっていたのだ。

「ああ、郵便のか? いいんだよ、そんなのは」
お前の名前の漢字は歴史の「史」であって、文章の「文」じゃないだろ。
そう言って新宿さんは、正規の記念日をこともなげに一蹴した。
そして、さらに付け加える。
「しかも今年は平成23年。 つまり『ふみ年』でふみが2倍ってわけだ。 めでたいな」

2と3を「ふみ」と読むのは、別におかしいことじゃない。
でも、新宿さんが勝手に作ったその記念日には、決定的に分からない部分がある。
「めでたいかどうかはともかく……それ、何する日なんですか?」
新宿さんは、待っていましたとばかりに、満面の笑みで答えた。
「いつもの2倍、史を愛でる日」

新宿さんの腕が僕の肩に回されて、その顔が近づいた。
顔を至近距離で覗き込まれて、一瞬心臓が跳ねた。
愛でる、というのは……つまり、「そういうこと」。
「そ、それは……困ります」
「ダメ?」
「……だって、2倍もされたら身がもたない……」

新宿さんは、いつもすごく優しい。
それはベッドの中でも変わらないけれど、困ったことに「優しい」と「容赦がない」は共存してしまうのだ。
あれ以上激しく攻め立てられたら、僕はどうなってしまうのか……想像するのすら怖い。

新宿さんは少しだけ苦笑いを浮かべて、さらに顔を近づけてきた。
頬に甘い吐息がかかる。
「じゃ、史がいつもの2倍ご奉仕してくれる日で、どう?」
「え……」
「それなら、平気だろ?」

頭の中に一昨日の夜の情景がよみがえって、かあっと頬が熱くなるのを感じた。
新宿さんのことが好きだから、僕からも色々してあげたいという気持ちはある。
でも、恥ずかしいものは恥ずかしい。
あれ以上、僕に何をしろって言うんだ……。

「お、おかしくないですか、『僕の日』なのに僕が何かするって……っ!」
「んー、たしかにそうだ」
僕が必死に抗議すると、新宿さんは体を引いた。
代わりに、僕の顎に指をかけて、楽しそうに笑う。
「じゃあ……いつもの2倍、史にキスする日、で手を打とう」
そう言い終わるのが早いか、新宿さんの唇が僕の唇に重なる。

……まあ、それくらいならいいかな。
僕は目を閉じて、しばらく新宿さんにキスされるがままにしていた。
それが承諾の意思表示であることは、たぶん新宿さんにも伝わったと思う。

「……でも」
何度目かのキスの後で、新宿さんは僕の耳元に唇を寄せた。
「たくさんキスしてるうちに、2倍な気分になっちゃうと思うぜ? お互いに、さ」
「……!」
今度は頬だけじゃなく、体全体が熱くなる。
それと同時に、ある種の衝動が僕の体を駆け巡った。

好き。
だから、もっと近くで感じたい。
キスだけじゃなくて、もっと……もっと近くで。

反射的に身を引こうとしたけれど、抱きすくめられているせいで、うまく動けない。
そんな僕の耳に、また新宿さんの楽しそうな囁きが聞こえた。
「さて、あとどれだけ耐えていられるかな……?」

平成23年、2月3日。
『ふみの日』はまだ、始まったばかり。

……………………

■らくがき4コマ
某淑女が宇多田ヒカルさんの『Can You Keep A Secret?』が新←六ソングに聞こえるって言っていたので、レイヤコピーでざくざく描いてみたものです。
歌詞に忠実なのは2コマ目までですが……。

らくがき4コマ

新宿さんに恋愛での「秘密」なんて、通用しないと思います。