ミラクル☆トレイン
[ 2010.03.18(木) 06:39 ]
SSあり

36.6m級の悩み

アニメの六本木くんが残したハードル、その2。(その1はこちら
無視してもなんとかなるけど、代わりに2004年よりも前のネタが書けなくなるという、実は根深い問題。

■その2 : 下の名前がついた時期が分からない

「六本木史」という名前は、原作でもアニメでも、【駅ナンバリング:23】が由来となっています。
原作では自己紹介ボイスおよびコミックで、アニメではキャラソン収録の語りにて、本人が言っています。

アニメ12話では10年前の六本木駅開業直前、
つまり2000年の冬ごろに、もうすでに六本木くんが存在していました。
しかし、大江戸線に駅ナンバリングが導入されたのは、2004年の4月1日なのです。
この間、彼は「六本木史」ではなく、ただの「六本木」だったということになります。

それなら、「駅ナンバリングが導入されたタイミングで、全員一斉に下の名前をつけた」と解釈すればいいわけです。
それで解決です。大江戸線内だけ、つまりアニメの世界内だけなら。

ここで問題になるのは、中央線が絡んできた場合です。
そう、新宿慎太郎さんは新宿凛太郎さんの『双子のお兄ちゃん』だという設定です。
開業タイミングに100年以上の差があるとか、その辺はとりあえず横に置いてください。
少なくとも、凛太郎さんが開業した1997年には、同じ姓を持った『お兄ちゃん』が存在しているということになります。
で、先ほどの仮定に基づくと、1997年の時点では凛太郎さんには下の名前がないわけです。
さて、慎太郎さんは、弟のことを何と呼べばいいのでしょうか。

開業した時点で凛太郎さんに下の名前があったとするなら、
他の大江戸線メンバーにも、開業した時点で下の名前がついているのが自然でしょう。
そうすると、駅ナンバリング由来のメンバーは、駅ナンバリング導入を機に改名したのでしょうか。
それはそれで、変です。

この二人は、どちらかに下の名前があればその時点でもう片方にも無いと不自然であり、
それがそのまま各々の路線のメンバーにも波及するのです。
トリガーになったのは六本木くんですが、事態を混乱させているのは新宿兄弟だという……。
ここの双子が「お互いの存在すら知らない」とかで関係が非常に薄ければ、
1997年の時点で凛太郎さんに下の名前が無かろうと何の問題もないわけですが、
それはそれで悲しいですよ……。

2000年のお話である『駅想』を書いた時には、
名前は駅名を二重括弧でくくって表記し、「都庁さんと慎太郎さんを呼ばない」という回避策を取りましたが、ネタによってはそうもいきません。

根本的につじつまを合わせようとしたら、
・アニメ設定に準拠:駅ナンバリング導入時に命名、慎太郎さんとは接点がないことにする
・アニメ設定を無視:彼らは「2009年2月頃(中央線企画開始時)に突然発生した」ことにする
のどちらかになってしまうのではないでしょうか。
前者は選択しがたく、かといって後者は何だかなぁ。

困ってしまったので、必死に折衷案を考えました。
・アニメ&原作折衷案:駅ナンバリング導入時に命名、凛太郎さんのみ下の名前があったが皆には無い

……これでよし。
中央線組が開業時に存在したとすると、現在とは姿が違うと思うんですが、そこはまた別の問題。
ところで、中央線組の名前が2000年のステーションルネッサンス実施後(ちなみに立川駅は2005年12月着工、2008年10月完了)についたとなると、前提が崩れるのですが……。
……まあ、そこは立川さんにイメチェンを機に改名してもらうということで。

ということで、たぶんこんな↓感じ。

……………………

「へえ、お前が俺の弟ねぇ。さすがにそっくりだな」
そいつは、俺の顔をまじまじと眺めて、感心したように言った。
同じ顔、同じ声。非常に落ち着かない。
「……なんか、変な感じだな。そっちは100歳、俺は生まれたて。それなのに『双子』だってんだから」
「ま、そこは割り切るしかないな」
肩をすくめたそいつは、変なことを言い出した。
「で、俺は『新宿慎太郎』だけど、お前の名前は?」

……は? 名前?
名前って……何だよ。
「俺は『新宿』だ。……他には何もねぇよ」
「ああ、大江戸線は名前つけてないのか。そりゃ悪かった」

そいつ――『慎太郎』の説明によると、中央線では『駅』達に名前がついているらしい。
駅名で判断できるのに、なんでわざわざ名前をつけるんだか。
名前なんて……ヒトみたいな真似を。
俺がそう思っているのが伝わったのか、『慎太郎』はちょっと遠くを見るような表情をした。
「……ある種の憧れ、かな。俺達はヒトじゃない。それでも……ちょっとでも近づきたい」
そう言われてしまうと、俺はもう何も反論できない。
生まれたばかりの俺にも……その気持ちはよく分かる。
湿っぽくなってしまった空気を払うように、『慎太郎』はおどけた仕草で俺に指を突きつけた。

「よし。それじゃあ、俺がお前の名前をつけてやろう」

『慎太郎』の子音を1文字変えて、『凛太郎』。
それが、俺につけられた名前。
響きは悪くないが……安直すぎやしないか。
結局俺は、俺につけられたその名前のことを、誰にも言わなかった。

それからの7年間、俺は同僚のことを駅名だけで呼んでいたが、別に何の支障もなかった。
だから、駅ナンバリングが導入された時に「皆で名前をつけよう」なんて言われて、俺は正直驚いた。
名前がついたって、何が変わるわけでもない。

「……凛太郎さん?」
思い出に浸っていた俺は、そいつの呼びかけで現実に引き戻された。
そいつは、俺をのぞきこんで、不思議そうに尋ねた。
「どうしました? ぼーっとして」

「……ん、ごめん。何?」
「車掌さんが呼んでます。新しいダイヤグラムができたそうですよ」
「了解。……んじゃ行くか、史」
心なしか嬉しそうなそいつを、駅名で呼ぶのは、どうにも味気ないと思う。
……名前があるってのも、悪くはないのかもな。

コメント


>ファーストネームの謎

“2人の新宿さん”でごっちゃになりそうなこの謎に
メスを入れられるのは大門さんではないでしょうか。

恋……じゃなく故意か偶然か、駅ナンバリング以外から
(この人の場合は某ドラマから)名づけられた名を持ち、
『とくがわの守人』の一人でもある“彼”とは同業者の
間柄である凛太郎さん(慎太郎さんも?)なら、開業前
――それこそ『徳川の時代』からずっと存在していても、
ファーストネームを持ち続けてもなんらおかしくはない
と考えています。
(それ以外の面々については、みくもさんの説をベースに
ナンバリング制の導入前から個々に自称していたとか…?)


……といいつつ春コミ合わせの本で、私も『この謎』に
ちょっとばかり触れているので(!)創作の“スキマ”
をかいくぐって、どこまでその真相に近づけるか……気になりますね。

投稿者: よぷ  | 2010年3月18日 10:18

>名前について
考えれば考えるほど分からなくなってしまって、
ついには「そもそも彼らは何者なんだろう」という
原点の部分にまで考えが及んだところで、
それ以上考えるのをあきらめました……。

凛太郎さんと大門さんは発言が意味深なのに断片的で、
なかなかに惑わせる人(by新宿西口くん)だと思います。
徳川の時代からいたとなると、どんな見た目・性格だったのか、気になりますね。
ああでも、二人とも義理に厚そうです。
(凛太郎さんは普段はぐうたらだけど実は……で、大門さんはストレートに)

>春コミ合わせの本で〜触れているので
おお〜、それは楽しみです!
原作の設定に謎の多いだけに、それをうまく解釈して作品に取り入れるのも
また楽しいですよね。

投稿者: 蒼風みくも  | 2010年3月20日 17:14